従来製法のナヤシ・クロメを 発展させた当社独自の精製技術

高分散漆『光琳』

当社は、従来製法漆に比べ、漆の粒子をより細かく分散させる独自の技術を確立し、高分散漆「光琳」を開発しました。この製法は、3本ロールミル製法(MR)と呼ばれる高分散技術とは異なり、ナヤシとクロメの工程をしっかりと行う従来製法をベースに、さらに分散を高めるという独自の精製法。耐候性に優れるなどの理由から、日光東照宮や姫路城(菱の門、武者窓・花燈窓)をはじめとする、様々な国宝・重要文化財建造物や京都迎賓館調度品などにも採用されています(写真1参照)。

特徴

特徴1 - 耐候性に優れる

漆の欠点としてまず挙げられるのが紫外線や雨風などによる劣化。いわゆる耐候性に難があるということでした。しかし、光琳漆は粒子を高分散化させることにより、塗膜を緻密かつ堅牢にすることで、従来製法漆よりも格段に初期劣化を遅らせることに成功。現在、国宝・重要文化財をはじめとする、様々な屋外建造物にも採用されています。(グラフ1・写真2・3参照)

促進耐候性試験後の塗膜光沢保持率の変化比較
グラフ1 : 京都市産業技術研究所試験結果

平成29年3月に修復が完成した日光東照宮・国宝「陽明門」にも日本産光琳漆が使用されています。(公・財)日光社寺文化財保存会

陽明門修復の様子(公財)日光社寺文化財保存会

特徴2 - 光沢に優れる

高分散技術で漆の粒子を細かくしている為、塗膜がより平滑になり、無油でも従来製法漆では実現不可能な艶を出すことが出来ます(図1参照)。従来製法の呂色漆は半艶程度ですが、光琳の呂色漆はより艶が高く、呂色磨きで艶が上がりやすいのも特徴。耐候性も良く、無油の塗立て仕上げでも艶が有り、経年変化での油浮きの心配もないことから、文化財などの屋外建造物にも数多く使われています。もちろん有油の塗立漆もご好評頂いています。また、光沢の保持率も良く、食洗器の劣化試験でも良い結果が出ています(図2参照)。

逆に、粒子を細かくすることによって艶を上げているので、その理屈から艶消の光琳は出来ません。

塗膜断面顕微鏡写真での比較
図1: x10000電子顕微鏡写真 京都市産業技術研究所

こんな特徴も

例えば  -1

3本ロールミル製法は、製法上の特徴から低粘度の漆になる傾向にありますが、光琳はナヤシとクロメを行うため、従来製法の様に粘度調整が可能。お客様のご要望によりお答えしやすくなります。

例えば  -2

蒔絵で粉蒔きの際、固めをしても後から粉が剥がれてしまうというご経験はないでしょうか?光琳の呂色漆を使って頂きますと、しっかりと定着し剥がれにくくなるのもメリットの一つです。さらに、蒔絵する塗面が光琳だと、芯乾きが良く硬度も高いためか、線描きする際、筆滑りが良く描きやすいというお声も頂いています。

例えば  -3

通常、呂色磨きの際に摺り漆として使用するのは上摺や伊勢早。粘度や乾きを調整できる光琳は、この摺り漆としてもご好評頂いています。光琳汁口早口上呂色(日本産入)を呂色時の初磨き、あるいは最終磨きの際に使って頂くと、より艶上がりも良く、特に黒の塗膜の場合、黒味が増し深みが出るとご評価頂いております。透漆や色物の場合は赤呂色で、黒漆の場合は黒呂色をご使用下さい。

ご注文にあたって

高分散漆『光琳』は商品カテゴリーの「日本産漆」「中国産漆」「蒔絵用漆」「ガラス用漆」の中からお選び頂けます。