Und.3Fに新たな漆ムロが完成しました
堤淺吉漆店 | Und.の3階に、新たな漆の乾燥設備「漆ムロ」が完成しました。
漆は、ウルシの木から採取される天然の樹液であり、温度と湿度の環境によってゆっくりと固化していくという特徴を持つ素材です。そのため、漆の塗り工程では適切な温度と湿度を保つ「ムロ」と呼ばれる専用の乾燥環境が不可欠となります。今回新設したムロは、そうした漆の性質に合わせて温度と湿度を安定的に保つことができる設備として整備されたものです。

▲写真、窓側が新設のムロ

▲旧ムロは、写真の手前側に移動しました
堤淺吉漆店 | Und.の3階には、一般の方々にも漆の魅力や可能性を体験していただくためのワークスペースと、職人が日々の作業を行う工房が併設されています。今回完成したムロは、職人による実際の制作工程を支える設備であると同時に、漆という素材がどのような環境で扱われているのかを来訪者に感じていただける空間としても機能します。ワークショップや見学を通して、漆という伝統素材の特性や、日本のものづくりの背景にある技術や知恵に触れていただくきっかけになればと考えています。
また、このムロの制作にあたっては、ひろがる京の木整備事業(木製品導入支援型)豊かな森を育てる府民税を活用しています。地域の森林資源を活かした木材を建築や設備に取り入れることで、木材利用の促進と森林資源の循環利用につなげることを目的としています。

木材を使うことは、森林の適切な管理を支え、結果として二酸化炭素の固定や地球温暖化防止にも寄与すると言われています。堤淺吉漆店 | Und.を訪れる方々が、木という素材の温かみや質感を身近に感じながら、森林資源の循環利用や環境との関わりについて考えるきっかけとなれば幸いです。
今回のムロの制作は、いつもお世話になっている吉田木工様にご協力いただきました。本体部分や戸の鏡板には、吉田木工様が辻井木材様とともに開発・制作されている「ベアーズウッド」の合板を使用しています。木材の魅力を活かしたこの素材は、木の個性や風合いを感じられると同時に、安定した品質を持つ建材としても注目されています。漆という日本の伝統素材と、地域の木材技術が組み合わさることで、新たな価値を生み出す空間となりました。
漆は自然から生まれ、人の手によって器や道具となり、長く使い継がれていく素材です。そして、木もまた森林の循環の中で育まれ、暮らしの中で活用される資源です。今回の漆ムロの整備を通して、漆と木という二つの自然素材の魅力や可能性を発信するとともに、地域の資源を活かしたものづくりのあり方をこれからも大切にしていきたいと考えています。
今後も堤淺吉漆店 | Und.では、漆の体験や見学、ワークショップなどを通じて、伝統技術の継承と新しい価値の発信に取り組んでまいります。漆と木のある空間を、ぜひ多くの方に体感していただければ幸いです。